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嚢胞(のう胞)とは?原因やできやすい人の特徴、放置するとどうなるのか解説

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嚢胞(のう胞)とは?原因やできやすい人の特徴、放置するとどうなるのか解説

健康診断や人間ドックで「嚢胞(のう胞)」が見つかり、不安を感じたことがある方も多いのではないでしょうか。嚢胞は自覚症状がほとんどなく、健康診断や人間ドックなどの検査をきっかけに偶然発見されることが多くなっています。嚢胞のほとんどは良性で、すぐに治療が必要なものではなく、経過観察とされるケースが一般的です。しかし、症状がないからこそ「本当にこのまま様子を見ていても大丈夫なのか」「将来的にがんになる可能性はないのか」と、不安を抱く方もいるでしょう。嚢胞の多くは心配のいらないものですが、できる場所や種類によっては注意が必要な場合もあります。

この記事では嚢胞の基本的な知識をはじめ、できやすい人の特徴や主な原因、放置した場合に考えられる影響、注意すべき嚢胞について、わかりやすく解説します。嚢胞について正しく理解することで、不安を抱え過ぎず、適切な判断や行動につなげていくことが大切です。

嚢胞(のう胞)とは

嚢胞とは、体の中にできる「袋状の構造物」の総称で、内部に液体や気体などがたまった状態を指します。特定の臓器に限られるものではなく、乳腺、膵臓、腎臓、肝臓、口の中など、全身のさまざまな場所に生じます。

多くの嚢胞は良性で、すぐに治療が必要なものではありません。ただし、画像検査では嚢胞とよく似た見た目をしていても、実際には「嚢胞性腫瘍」と呼ばれる病変が含まれていることがあります。嚢胞性腫瘍の中には、将来的にがんへ進行する可能性をもつものもあるため、嚢胞の性質を慎重に見極めることが重要です。

嚢胞ができやすい人の特徴

嚢胞は誰にでも生じる可能性がありますが、年齢や体の状態などによって、見つかりやすさに違いがみられることがあります。ここでは、嚢胞ができやすいとされる人の主な特徴について解説します。

加齢による変化がある人

嚢胞は年齢とともに見つかりやすくなる傾向があります。特に40代以降になると、腎臓や肝臓、膵臓などで嚢胞を指摘される機会が増えてきます。これは、長年にわたって臓器が働くなかで、細胞や組織がかたくなったり、分泌物の通り道が狭くなったりすることで、水分がたまりやすくなるためと考えられています。

ホルモンバランスに変化がある人

乳腺嚢胞や卵巣嚢胞は、女性ホルモンの影響を受けやすい嚢胞です。月経周期にともなって胸の張りや痛みが出やすい方は、ホルモンの変動が比較的大きい可能性があります。このようなホルモンバランスの変化によって、体液の排出が滞ったり、嚢胞ができやすい状態に組織や細胞が変化したりすることがあります。

特定の生活習慣や持病がある人

嚢胞との直接的な因果関係が明確に示されているわけではありませんが、生活習慣が影響する可能性はあります。過度な飲酒や脂肪分の多い食生活は、膵臓や肝臓に負担をかけやすくなります。また、糖尿病や肥満、喫煙習慣がある場合、臓器に慢性的なダメージや炎症が起こりやすくなり、結果として嚢胞ができやすい環境になることがあります。

遺伝(体質)・家族歴がある人

遺伝的な要因によって生じる嚢胞もあります。代表的な例が、腎臓に多数の嚢胞ができる「多発性嚢胞腎(PKD)」です。この病気では、腎臓だけでなく肝臓にも多くの嚢胞がみられます。家族に腎臓や肝臓の嚢胞を指摘された人が多い場合は、若いうちから定期的な検査を受けることが重要です。

また、卵巣に多数の嚢胞(卵胞)が生じる「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」のように、体質的な要因が関与していると考えられるケースもあります。

嚢胞ができる主な原因

嚢胞ができる明確な原因は、まだ明らかになっていません。ただし、いくつかの過程を通じて嚢胞が形成されることがあると考えられています。

分泌液の「出口」が詰まる(閉塞)

嚢胞ができる原因として一般的なのが、体内でつくられる分泌液の通り道が詰まることです。本来は、体外や別の臓器へ排出されるはずの唾液、皮脂、膵液などが、何らかの理由で流れにくくなると、行き場を失った液体や老廃物がたまります。その結果、周囲の組織が押し広げられて、袋状の構造物として嚢胞が形成されます。

臓器の「炎症」によるダメージ

強い炎症が起こると、臓器の組織の一部が線維化し、嚢胞が形成される場合があります。膵臓や肝臓、肺などでみられることがあり、炎症の合併症として生じるケースもあります。

代表的な例が、急性膵炎や慢性膵炎の合併症として生じる「膵仮性嚢胞」です。膵仮性嚢胞では、細菌感染などを引き起こすことがあるため、状態に応じて治療が検討されます。

【要注意】膵臓(すい臓)の嚢胞は「がんの予兆」?

近年、腹部超音波検査やCT検査の画質が向上したことで、これまで見つかりにくかった小さな嚢胞も発見されるようになり、健康診断や人間ドックで「膵嚢胞」を指摘される人が増えています。ここでは、膵嚢胞についてくわしく解説します。

なぜ膵嚢胞は注意が必要なのか

膵嚢胞が他の臓器の嚢胞と比べて特に注意が必要とされる理由は、膵臓という臓器の特徴にあります。膵臓は、炎症やがんがあっても症状があらわれにくく、「沈黙の臓器」と呼ばれています。そのため、異変に気づいたときには、すでに病気が進行していることも少なくありません。

さらに、膵嚢胞の中には、将来的に膵がんへ進行する可能性のあるタイプが存在します。見た目は良性の嚢胞に見えても、時間の経過とともに性質が変化し、がん化するケースがある点が問題です。

そのため、膵嚢胞を指摘された場合には「今は症状がないから大丈夫」と自己判断するのではなく、嚢胞の種類や大きさ、形に変化がないかを定期的に確認していくことが重要です。医師の判断にもとづいた継続的な経過観察が、将来のリスクを抑えるうえで欠かせません。

「膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)」に要注意

膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)は、粘液を産生するタイプの嚢胞性病変です。IPMNの中には、膵がんへ進行するリスクが高いタイプがあり、この場合、嚢胞そのものががん化する可能性があります。

また、がん化のリスクが比較的低いタイプのIPMNであっても、IPMNを持つ人は膵臓の別の部位にもがんが生じやすいことが報告されています。そのため、嚢胞の性質にかかわらず、定期的な画像検査と慎重な経過観察が必要です。

乳房(乳腺)の嚢胞は30代〜50代に多い

乳腺の嚢胞は、触れる「しこり」として気づくことがあり、不安を感じやすい所見のひとつです。乳管の中に乳腺から分泌された液体が溜まることで生じ、女性ホルモンの影響を受けやすいことが特徴です。そのため、生理周期にともなって大きさが変化することもあります。嚢胞の大きさや数が変化すること自体は珍しくなく、必ずしも症状の悪化を意味するわけではありません。

乳腺の嚢胞の多くは良性で、治療を必要としない場合がほとんどです。ただし、嚢胞の内部に細胞成分が含まれている場合や、小さな嚢胞が集合している場合には、嚢胞の内容物をくわしく調べる細胞診という検査が検討されることがあります。

口腔・腎臓・肝臓などその他の嚢胞にも要注意

嚢胞は体のさまざまな場所に生じ、多くの場合は経過観察で対応されます。ただし、嚢胞の内部に細胞成分が混在している場合や、短期間で急激に大きくなる場合、壁の厚みが不均一で部分的に厚くなっているような場合などには注意が必要です。

口腔(口の中)の粘液嚢胞

口腔内に生じる代表的な嚢胞が「粘液嚢胞」です。粘液嚢胞は、唇や頬の内側、舌の裏などにある唾液腺の出口が詰まることで唾液が袋状にたまったり、唾液腺が損傷して唾液が周囲の組織に漏れ出したりすることで生じます。無意識に唇を噛む癖がある方や、食事中に口腔内を傷つけやすい方に多くみられます。

透明感のある小さな膨らみとしてあらわれ、触るとやわらかく、痛みを伴わないことがほとんどです。多くは良性ですが、必要に応じて歯科や口腔外科で嚢胞の摘出が検討されることがあります。

腎嚢胞・肝嚢胞

腎臓や肝臓にできる嚢胞は、健康診断や人間ドックで偶然に見つかることがあります。自覚症状がないまま、腹部超音波検査やCT検査で偶然発見されるケースが大半です。これらの嚢胞は、加齢にともなう変化として生じることが多く、ほとんどの場合、治療の必要はありません。

ただし、嚢胞が大きくなって周囲の組織を圧迫し症状が出ている場合や、内部に出血や感染をともなう場合には治療が検討されます。また、短期間で急激に大きくなる場合や、内部にしこりのような構造が認められる場合には、精密検査が行われることもあります。定期的な経過観察によって変化を確認することが重要です。

嚢胞を放置したらどうなる?健康診断で嚢胞が見つかったら…

健康診断や人間ドックで嚢胞が見つかっても、すべてがすぐに治療や手術を必要とするわけではありません。経過観察中に嚢胞が徐々に大きくなることもありますが、良性の嚢胞でも大きさに変化がみられることは珍しくなく、それだけで過度に心配する必要はないとされています。

一方で、膵臓に生じる「膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)」のように、嚢胞の内側が腫瘍性の細胞でおおわれている嚢胞性腫瘍では、将来的にがんへ進行する可能性があることが知られています。

そのため、「良性だから心配ない」と自己判断するのではなく、嚢胞ができた部位や大きさ、形状の急な変化などに注意しながら、必要な検査を適切なタイミングで受け、慎重に経過をみていくことが重要です。

経過観察中に「リスク検査」という選択肢もアリ

嚢胞は体のさまざまな部位に生じますが、その多くは良性で、すぐに治療が必要となるケースは限られています。そのため、健康診断や人間ドックで嚢胞を指摘された場合、多くは経過観察となります。ただし、膵臓の嚢胞など、嚢胞の種類や経過によっては、将来的ながんのリスクを完全に否定できないものがあるのも事実です。

経過観察は「何もしない」という意味ではありません。定期的な検査を通じて変化を確認していくことが基本ですが、経過観察中に「今の状態で本当に問題はないのか」と不安を感じる方もいるでしょう。そうしたときに、補助的な選択肢として考えられるのが、がんリスクを把握するための検査です。画像検査とは異なる視点から体の状態を確認することで、経過観察中の安心材料になる場合があります。
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