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背中(右側・中央・左側)の痛みの原因は?がんによる痛みの特徴も解説

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背中(右側・中央・左側)の痛みの原因は?がんによる痛みの特徴も解説

「最近、背中が痛い…」そんな経験はありませんか。背中の痛みは日常的によくある症状ですが、実は痛む場所によって原因が大きく異なります。単なる疲れや筋肉痛のこともあれば、内臓の病気が隠れているケースもあるため、軽視できません。

本記事では、背中のどの部分が痛むかによって、どんな病気の可能性があるのかを、わかりやすく解説します。また、がんによる背中の痛みにはどんな特徴があるのか、筋肉の痛みと内臓の痛みをどう見分けるのかについても説明します。背中の痛みで不安を感じている方は参考にしてみてください。

【場所別】背中の痛みの原因は?

背中の痛みには、筋肉や骨が痛むタイプと内臓に問題があるタイプがあります。それぞれ順番に見ていきましょう。

背中の右側が痛いときに考えられる原因

背中の右側が痛む場合、体の右側にある内臓に何か問題が起きている可能性があります。右側には、肝臓、胆のう、右側の腎臓、十二指腸といった臓器があります。これらの臓器に異常があると、背中の右側に痛みとして現れることがあるのです。

胆のう・胆管の病気(胆石症、胆のう炎など)

胆のうは、肝臓で作られた「胆汁」という消化液を一時的に溜めておく袋のような臓器です。お腹の右上、肋骨の下あたりにあります。胆石症というのは、この胆のうの中に石のような固まり(胆石)ができてしまう病気です。

胆石ができると、右の肋骨の下から背中の右側、さらには右肩まで痛みが広がることがあります。特に、油っこい食事を食べた後に痛みが強くなるのが特徴です。突然、激しい痛みに襲われることもあります。胆のう炎は、胆のうに炎症が起きた状態で、発熱や吐き気を伴うこともあります。

肝臓の病気(肝炎など)

肝臓は、お腹の右上にある体の中で最も大きな臓器です。お酒の分解や栄養の貯蔵など、たくさんの大切な働きをしています。肝炎というのは、肝臓に炎症が起きている状態です。

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれていて、病気になっても初期には痛みなどの症状がほとんど出ません。背中の痛みが現れるということは、病気がある程度進んでいる可能性もあります。痛みは右の肩甲骨(背中の上の方にある平たい骨)の下から、右の背中にかけて感じることが多いです。だるさが続く、皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)、食欲がないといった症状も一緒に現れることがあります。

腎臓の病気(腎結石、腎盂腎炎など)

腎臓は、血液から老廃物を濾し取って尿を作る臓器です。背中側の腰に近い位置に、左右1つずつあります。腎結石は、腎臓の中に石ができてしまう病気です。

石が腎臓から尿の通り道(尿管)に移動すると、突然激しい痛みに襲われます。これを「疝痛発作」と呼びます。痛みは背中の腰に近い部分に出ることが多く、右側だけでなく左側にも起こります。尿に血が混じる(血尿)、トイレが近くなる、吐き気がするといった症状も一緒に現れることがあります。腎盂腎炎は腎臓に細菌が感染する病気で、発熱、背中や腰の痛み、排尿時の痛みなどが特徴です。

十二指腸潰瘍

十二指腸は、胃の出口から小腸につながる部分です。体の右側に位置しています。十二指腸潰瘍は、十二指腸の壁に傷ができる病気です。

十二指腸潰瘍があると、背中の右側が痛むことがあります。胆石と症状が似ていて、見分けがつきにくい場合もあります。お腹が空いているときや夜間に痛みが強くなり、食事をすると少し楽になるのが特徴です。みぞおち(胸とお腹の境目あたり)の痛み、胸やけ、吐き気なども一緒に感じることがあります。

背中の中央が痛いときに考えられる原因

背中の真ん中、背骨に沿った部分が痛む場合は、食道や大動脈といった、体の中央を通る器官に問題がある可能性があります。

食道疾患(食道アカラシアなど)

食道は、喉から胃まで食べ物を運ぶ管です。背中の中央を通っています。食道アカラシアは、食道の下の方の筋肉がうまく緩まなくなる病気です。食べ物が胃に流れていきにくくなります。

背中の上の方が痛むほか、胸の違和感、飲み込みにくさ、食べた後の胸やけや逆流感などの症状が現れます。食道に炎症や傷(潰瘍)ができた場合も、背中の中央に痛みを感じることがあります。

大動脈解離

大動脈は、心臓から全身に血液を送る最も太い血管です。胸から腹部の中央を通っています。大動脈解離は、この血管の壁が裂けてしまう非常に危険な状態です。

突然、胸や背中に「引き裂かれるような」「刺されるような」激しい痛みが走ります。痛みは背中から腰へと移動していくこともあります。冷や汗が出る、血圧が急激に変わる、意識がもうろうとするといった症状を伴う場合もあります。大動脈解離は命に関わる緊急事態ですので、このような症状が現れたらすぐに救急車を呼んでください。

背中の左側が痛いときに考えられる原因

背中の左側が痛む場合、体の左側にある心臓、胃、膵臓、肺などの臓器に問題がある可能性があります。

心臓の病気(狭心症、心筋梗塞など)

心臓は胸の中央からやや左側にあります。狭心症は心臓に血液を送る血管(冠動脈)が狭くなる病気、心筋梗塞は血管が完全に詰まってしまう病気です。

どちらも胸の痛みが主な症状ですが、左肩や背中の左側にも痛みが広がることがあります。胸を圧迫されるような感じ、締め付けられるような痛み、動悸(心臓がドキドキする)、息切れ、冷や汗といった症状を伴う場合は、緊急性が非常に高い状態です。

胃の病気(胃炎、胃潰瘍など)

胃は、お腹の左上にあります。食べ物を消化する臓器です。胃炎は胃に炎症が起きた状態、胃潰瘍は胃の壁に傷ができる病気です。

背中の左側が痛い場合、胃潰瘍や胃炎が原因である可能性があります。みぞおちの痛み、食後の不快感、胸やけ、吐き気なども一緒に感じることが多いです。胃潰瘍の場合、お腹が空いているときに痛みが強くなることもあります。ストレス、ピロリ菌という細菌の感染、痛み止めの薬を長く飲み続けることなどが原因となります。

膵臓の病気(急性膵炎、慢性膵炎、膵臓がんなど)

膵臓は、胃の裏側、背中に近い位置にある臓器です。消化を助ける液や、血糖値を調整するホルモンを作っています。膵炎は、膵臓に炎症が起きる病気です。

急性膵炎では、突然みぞおちや左脇腹に激しい痛みが起こり、背中の左側にも痛みが広がります。前かがみになると少し楽になるのが特徴です。吐き気、嘔吐、発熱を伴うこともあります。慢性膵炎では、鈍い痛みが続きます。膵臓がんでも背中の痛みが現れることがあります。

肺の病気(肺炎、胸膜炎、気胸など)

肺は、胸の左右両側にあります。呼吸をするための臓器です。肺炎は肺に炎症が起きる病気、胸膜炎は肺を包む膜に炎症が起きる病気です。気胸は、肺に穴が開いて空気が漏れてしまう状態です。

肺炎や胸膜炎では、咳をしたり深く息を吸ったりしたときに、背中や胸が痛みます。熱が出る、咳が出る、痰が出る、息苦しいといった症状も一緒に現れます。気胸では、突然胸や背中が痛み、息苦しくなります。左側だけでなく右側にも起こります。

背面の筋肉・骨が痛いときに考えられる原因

内臓の病気について説明してきましたが、背中そのもの、つまり筋肉や骨、神経に問題がある場合も背中が痛みます。

ぎっくり背中(急性背部痛)

「ぎっくり腰」という言葉は聞いたことがあるかもしれませんが、背中でも同じようなことが起こります。急に体をひねったり、無理な姿勢をとったりしたときに、背中の筋肉や筋膜(筋肉を包む膜)を痛めてしまう状態です。

突然鋭い痛みが走り、動くと痛みが強くなります。安静にして、数日から1週間ほどで良くなることが多いですが、痛みがひどい場合は病院を受診しましょう。

椎間関節症

背骨は、椎骨という骨がいくつも積み重なってできています。椎骨と椎骨のつなぎ目を椎間関節と呼びます。椎間関節症は、この関節に炎症が起きたり、変形したりする状態です。

体を後ろに反らしたときに痛みが出やすいのが特徴です。年齢を重ねることによる変化や、長時間同じ姿勢を続けることで起こりやすくなります。慢性的な痛みが続く場合もあります。

椎間板ヘルニア(頚椎・胸椎)

背骨の骨と骨の間には、クッションの役割をする「椎間板」という軟骨があります。椎間板ヘルニアは、このクッションが飛び出して神経を圧迫し、痛みやしびれを引き起こす病気です。

首の骨(頚椎)でヘルニアが起こると、首から肩、腕にかけて痛みやしびれが広がります。胸の骨(胸椎)でヘルニアが起こると、背中が痛んだり、肋骨に沿って痛みが走ったりします。

筋肉痛・筋膜炎

運動をした後や重い物を持った後に筋肉が痛くなる、いわゆる筋肉痛は誰でも経験があるでしょう。筋膜炎は、筋肉を包んでいる筋膜に炎症が起きる状態です。

筋肉と骨は筋膜でつながっているため、筋膜炎は体のさまざまな場所で起こります。特定の動きをすると痛みが強くなり、押すと痛む場所(圧痛点)があるのが特徴です。

骨粗鬆症による圧迫骨折

骨粗鬆症は、骨がスカスカになってもろくなる病気です。特に高齢の女性に多く見られます。骨粗鬆症が進むと、ちょっとした衝撃や日常の動作で背骨が潰れてしまうことがあります。これを圧迫骨折と呼びます。

骨盤に近い腰の部分に痛みを感じやすく、背中が丸くなったり、身長が縮んだりします。転んだり重い物を持ったりした覚えがなくても、骨折していることがあります。

帯状疱疹

帯状疱疹は、子どもの頃にかかる水ぼうそうと同じウイルスが原因で起こります。水ぼうそうが治った後も、ウイルスは体の中の神経に潜んでいて、免疫力が落ちたときに再び活動を始めます。

皮膚の表面がヒリヒリ、チクチクと痛み、その後赤い発疹や水ぶくれが出てきます。体の左右どちらか片側に、帯状に現れるのが特徴です。痛みは皮膚に発疹が出る数日前から始まることもあります。早めに抗ウイルス薬で治療を始めることが大切です。

関連記事:腰痛の原因ががんだった場合どんな痛み?腰の痛みが治らないときは要注意

背中の痛みと内臓の痛みの見分け方

背中が痛いとき、「これは筋肉の痛みなのか、それとも内臓の病気なのか」を見分けるのは難しいかもしれません。でも、いくつかのポイントに注目すると、ある程度判断の材料になります。

比較ポイント筋肉・骨の痛み内臓の痛み
動いたときの痛み体を動かすと痛みが強くなる体を動かしても痛みが変わらない
安静時の痛みじっとしていると痛みが和らぐじっとしていても痛みが強く、または悪化する
痛む時間帯日中、動いているときに痛みやすい夜間に痛みが強くなることが多い
痛みの場所「ここが痛い」とはっきり指し示せる「なんとなくこのあたり」と漠然としている
押したときの痛み押すと痛みが強くなる押しても痛みが変わらない場合が多い
他の症状ほとんどない発熱、吐き気、息苦しさを伴うことが多い
市販薬の効果湿布や痛み止めで楽になることがあるあまり効果がない

体を動かしたときに痛みが強くなる場合は、筋肉や骨の問題である可能性が高いです。たとえば、体をひねったり、前かがみになったり、特定の姿勢をとったりすると痛みが増します。逆に、じっとしていると痛みが和らぎます。痛い場所を指で押すと痛みが強くなり、「ここが痛い」とはっきり場所を指し示すことができます。湿布を貼ったり、市販の痛み止めを飲んだりすると楽になる場合もあります。

一方、体を動かしても痛みが変わらない、あるいはじっとしていても痛みが続く、または悪化する場合は、内臓の病気が疑われます。夜、寝ているときに痛みが強くなることもあります。内臓の痛みは、「なんとなくこのあたりが痛い」という漠然とした痛みであることが多く、正確な場所を指し示すのが難しい場合があります。

また、背中の痛みだけでなく、次のような症状を伴うことが多いです。

  • 熱が出る
  • 吐き気がする、吐いてしまう
  • 冷や汗が出る
  • 息苦しい、呼吸が苦しい
  • 尿に血が混じる
  • 皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)
  • 胸がドキドキする(動悸)
  • 意識がもうろうとする

ただし自己判断するのは難しいものです。上記の症状がある場合は内臓疾患の可能性があるため、速やかに受診するようにしましょう。

【種類別】がんによる背中の痛みの特徴

がんによる背中の痛みは、普通の筋肉痛とは違い、痛みがずっと続きます。安静にしていても痛みが治まらず、夜寝ているときに痛みが強くなることもあります。痛みは徐々に強くなっていく傾向にあるため注意が必要です。

背中の痛みを引き起こす可能性のある代表的ながんについて、わかりやすく説明していきます。

膵がん(膵臓がん)

膵臓は、胃の裏側、背中に近い位置にある臓器で、消化液やインスリンなどを作ります。膵がんは早期発見が難しく、初期にはほとんど症状が現れません。進行すると、みぞおちから背中にかけて鈍い痛みが続きます。

前かがみになると楽になることがあり、夜間や食後に痛みが強くなります。痛みは背中の左側から真ん中あたりに感じることが多く、腰痛と間違えやすいです。黄疸、体重減少、食欲不振、糖尿病の悪化などを伴うことがあります。

肺がん

肺がんは、肺の気管支や肺胞にできるがんです。がんが胸膜や胸壁に広がったり、骨に転移したりすると背中が痛みます。胸や背中に鈍い痛みを感じ、深呼吸や咳で痛みが強くなります。

がんができた側の背中に痛みが出ることが多く、痛みは徐々に強くなります。息切れ、呼吸困難、声のかすれなどを伴うこともあります。

胃がん

胃がんは、胃の粘膜にできるがんで、日本人に多い病気です。早期では症状がありませんが、進行すると上腹部の不快感や痛みが現れます。

がんが胃の後ろ側に深く広がると、みぞおちから背中の左側にかけて鈍い痛みを感じます。食後に痛みが強くなることがあり、胃の膨満感、食欲不振、吐き気、体重減少、黒色便などを伴います。痛みは持続的で、徐々に強くなります。

乳がん

乳がんは乳房にできるがんで、女性に最も多いがんです。しこりや乳首からの分泌物が初期症状ですが、骨に転移すると背中が痛みます。背骨や肋骨に持続的な痛みが現れ、夜間に特に強くなります。

安静にしていても改善しません。背中の上部(胸椎)に痛みが出ることが多く、骨がもろくなるため、軽い衝撃でも骨折して激痛が走ることがあります。

食道がん

食道がんは、喉から胃へ食べ物を運ぶ食道の粘膜にできるがんです。飲酒や喫煙が主なリスク因子です。初期には症状がなく、進行すると飲み込みにくさが主な症状となります。

がんが食道の壁を突き破ったり、背骨に転移したりすると、背中の真ん中から上部にかけて鈍い痛みを感じます。飲み込むときに痛みが強くなり、痛みは持続的で徐々に強くなります。胸の違和感、体重減少、声のかすれ、咳などを伴う場合があります。

がんの早期発見にはリスク検査が有効

背中の痛みは、私たちが日常的によく経験する症状です。多くの場合は筋肉の疲れや軽い炎症によるもので、数日から1週間ほどで自然に良くなります。しかし、痛む場所や痛み方によっては、深刻な内臓の病気が隠れている可能性もあります。

特に注意が必要なのは、内臓の病気による痛みです。内臓の痛みは、安静にしていても良くならず、他の症状(発熱、吐き気、息苦しさなど)を伴うことが多いです。がんによる背中の痛みは、持続的で夜間に悪化する傾向があり、早期には他の症状がほとんど現れないこともあります。

がんは早期に発見できれば、治る可能性が大きく高まります。しかし、多くのがんは初期段階では自覚症状がほとんどありません。そのため、症状が出る前から定期的に検診を受け、自分のリスクを把握しておくことがとても大切です。

がんの早期発見には、定期的な検診とリスク検査が効果的です。だ液によるがんリスク検査「サリバチェッカー」は、採血などの身体的な負担がなく、複数のがんのリスクを一度にチェックできる優れた方法です。注射が苦手な方でも気軽に受けられ、日常的な健康管理に役立ちます。

背中の痛みが続いている場合、特に激しい痛みがある場合や他の症状を伴う場合は、自分で判断せずに医療機関を受診しましょう。「たぶん大丈夫だろう」と軽く考えず、気になることがあれば早めに相談することが、命を守り、健康な生活を続けるための最も重要な対策です。