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サリバチェッカー®とは
生命体は、生命活動の維持のためにその内部において一連の化学反応(新陳代謝、代謝ともいう)を行い、その過程で生成される物質は代謝物と呼ばれています。我々ヒトが食事を行うのは代謝に必要な物質を取り込む為であり、取り込んだ物質をもとにエネルギーを生成し、生命活動に必要な物質を作り出しています。
図1.糖質の代謝の一例
代謝はあらゆる生命体で普遍的に見られ、がん化した細胞においても例外ではありません。そこで、サリバテックはがん化した細胞の代謝に着目してきました。がん化した細胞は、正常細胞と異なる特殊な代謝機能を使って活発な増殖に必要なエネルギーを産生しています(ワールブルグ現象)。近年の分析技術の革新的な進歩により、がんで起きる様々な代謝経路の活性化を調べることが可能となってきました。慶應義塾大学先端生命科学研究所では、私たちの体の中にある約3000程度の代謝物を一斉に測定する、世界に類を見ない技術を確立しました。
サリバテックはその技術を応用し、がんに特異的な代謝異常が血液や尿だけでなく唾液にも現れることを発見しました。
図2.がん化した細胞の代謝物が唾液中に出現するメカニズム
サリバテックが開発しただ液によるがんリスク検査「SalivaChecker®」は、0.1ccの睡液を高感度分析装置を使って分析し、がん組織の中で特異的に濃度が上昇する複数の物質を分離・検出します。さらに、それらの物質をAI(人工知能)で解析し、臨床研究のデータと照らし合わせてがんの疾患リスクを算出しています。
図3.
唾液による検査は、血液や尿などの他の体液に比べて低侵襲かつ簡便に検査が可能で、従来の検査よりも高頻度に受け易いことが大きな利点です。臨床の場では、人間ドックや歯科検診のオプションとしての利用、PET検診等の前段階での利用など様々なケースでご導入いただいています。歯科の分野においても非侵襲的な検査という点で注目をあつめています。今後、更にがん種を増やすべく研究を進めています。
新たながん対策の必要性
医療の高度化に伴いがんの治療効果は劇的に向上してきました。しかし、がんの絶対患者数の増加と医療の高度化による二重の医療費増大により医療経済的な負担はますます増大することが懸念されます。がん対策の新しいシステムの構築によるパラダイムシフトが必要とされています。
半世紀前は脳血管疾患が日本人の主な死因であったのに対し、近年は悪性新生物(がん)が死因の多くを占め、がん罹患者は年々増加傾向にあります。がんが現代人の最たる死因である一方で、男女ともに日本におけるがん検診受診率は決して高いとは言えず、主要先進国の中で最も低水準です。
図4-1.日本における検診受診率(過去1年間の受診率)
図4-2.日本とOECD加盟国の検診受診率の比較
社会構造の変化に伴い、労働者人口が高齢にシフトし、がんに罹患しやすい年代とのオーラップが予想される中、医療を提供する側から革新的なアプローチをして、来たる将来に備えることが使命と言えるでしょう。
図5.年齢別に見たがん羅患率と労働人口の推移
5年相対生存率の推移をみると、前立腺がんは97.5%、乳がんでは91.1%と極めて高いがんもある一方で、膵がんは7%台と極めて低いです。
図6.5年相対生存率
膵がんは予後が極めて悪いがんの一つです。具体的なリスクファクターが同定されていないためハイリスク群の選別が難しく、また、進行しないと症状が出てこないことから多くの症例がステージIVの転移症例で見つかります。
図7.膵がんのステージ別内訳
現状では手術適応段階(ステージIIIあるいはそれより前)での発見は困難です。膵がんの検査には、腫瘍マーカー(CEA、CA19-9、SPan-1、DUPAN-2など)、膵逸脱酵素(アミラーゼ、エラスターゼ1など)等の血液検査があるものの、早期発見や特異性の限界があり、実際には腹部エコー、CT、MRI、超音波内視鏡等で見つかることが多いのが現状です。高頻度に検査を行わなければ早期発見が難しいとはいえ、これらの検査を年に数回行うことは被験者にとっても負担であるだけでなく、限られた医療資源の中では非現実的です。膵がん早期発見のためには、従来の検査よりも低侵襲で簡便なスクリーニング検査を定期的に行えることが必要であると考えます。
なぜ唾液の代謝物でがんのリスクがわかるのか?
これまでの研究で、ヒトの代謝物の中でもポリアミン類ががん組織の中で異常に高濃度になることを観測してきました。がん抑制遺伝子に異常が起きると、mycと呼ばれるがん遺伝子の発現が抑えられなくなり、さらにはオルニチンからポリアミンを作る酵素(ODC)が活性化します。多数のがんにおいてこのメカニズムが見られ、特にmyc遺伝子によって早期のがんでも代謝が変化していることが報告されています。
図8.がん化した細胞内におけるポリアミン類の代謝の一例
これは早期の膵がんにおいても見られます。膵がんの他に乳がんにおいてもこれらの代謝経路の物質の血中・尿中濃度が上昇することを報告しております(参考文献1参照)。
膵がんにおいては少なくともステージIIIで、スペルミン・スペルミジンあるいはこれらのアセチル化した物質などの様々なポリアミン類の睡液中濃度が上昇していることも報告しました(参考文献2参照)。がん種による特異性を高めるために、単体物質ではなく、複数物質にて複合的に捉え、パターン化することとしました。我々はAI(人工知能)を用いてこのパターンを学習する方法論の開発を行ってきました。そして、唾液中のポリアミン類のパターンによって臓器ごとにがんリスクを算出する方法をサリバチェッカーとして実現しました。
- 【参考文献1】
- Takada M, Sugimoto M, Masuda N, Iwata H, Kuroi K, Yamashiro H, Ohno S, lshiguro H, lnamoto T, Toi M. Prediction of postoperative disease-free survival and brain metastasis for HER2-positive breast cancer patients treated with neoadjuvant chemotherapy plus trastuzumab using a machine learning algorithm. Breast Cancer Res Treat. 2018;172(3):611-618.
- 【参考文献2】
- Asai Y, ltoi T, Sugimoto M, Sofuni A, Tsuchiya T, Tanaka R, Tonozuka R, Honjo M, Mukai S, Fujita M, Yamamoto K, Matsunami Y, Kurosawa T, Nagakawa Y, Kaneko M, Ota S, Kawachi S, Shimazu M, Soga T, Tomita M, Sunamura M. Elevated Polyamines in Saliva of Pancreatic Cancer Cancers (Basel). 2018;10(2). pii: E43.
ORDER
サリバチェッカーのお申し込み
サリバチェッカーの導入検討の医療機関様に関しましては
当社よりご案内をさせていただきますので、
ご連絡をお願いいたします。
FAQ
ご使用いただいたお客さまのよくあるご質問
ワクチン接種や予防接種は検査に影響しますか
サリバチェッカーを受ければ他のがん検診を受けなくても大丈夫ですか?
本検査はだ液を採取した時点でのがんのリスクを調べる検査です。各検査には長所と短所があり、互いに補い合っています。また本検査は他の検査同様、偽陽性(本当はがんに罹患していないのに検査で陽性になること)・偽陰性(本当はがんに罹患しているのに検査で陰性になること)となる症例を含んでいます。サリバチェッカーと他の検査を併用することで、がんを見つけ出せる可能性は高くなります。
こちらの記事もご覧ください→サリバチェッカーはどんなメリットがあるの?
サリバチェッカーは必ずがんを発見できるのですか?
本検査は、がんを診断するためのものではなく、現在のがんのリスクを調べる検査です。高いリスク値が出てがんの発見につながる場合もある一方で、リスク値が低い場合でもがんがある可能性もあります。必ずがんを発見できるというものではありません。リスク値が高い場合には、かかりつけ医または検査後の相談ができる医療機関(「https://sc.salivatech.co.jp/examined/」)にご相談いただくことをお勧めします。また、リスク値が低い場合も、年に1回は本検査と健康診断や人間ドック等を受けていただくことをおすすめします。
こちらの記事もご覧ください→偽陰性・偽陽性はあるの?
サリバチェッカーの検査価格はいくらですか?
本検査は健康保険が適用されない自由診療となりますので、検査費用は各医療機関によって異なります。検査費用については受診する医療機関へ直接お問い合わせください。
サリバチェッカーを受けるにはどうすればいいですか?
提携の医療機関へ直接お申し込みください。弊社ホームページの検査できる医療機関「http://sc.salivatech.co.jp/medical-list/」は随時更新しておりますので、定期的にご確認ください。検査ができる医療機関を全国に増やせるよう、営業活動を行っております。(一部弊社と契約した企業・健康保険組合等を通しての検査も行っております。)
※サリバチェッカー®は株式会社サリバテックの登録商標です。
商品トラブル、不具合の場合
商品到着後8日以内に限り、送料・手数料ともに弊社負担で返品交換いたします。
お客様都合による返品はお受けできません。
検査キットの配送について
海外発送は行っておりません。
一部離島はサービス対象外となります。
配達日時の指定はできません。
お申し込み後、キットを発送する前に限り、キャンセルが可能です。
慶應義塾大学先端生命科学研究所の
研究成果をもとに開発した、
がんの早期発見が期待できる新しい検査です。
だ液中に含まれる代謝物を分析し、AI(人工知能)で解析。
臨床研究のデータと照らし合わせてがんリスクを評価します。